柊くんの、本音をちょうだい――――……



 ※※※


「そんなに星ばっかり見てると、そのうち引力に引かれて身体が浮いちゃうんだよ」


くだらないあたしの嘘に、柊くんはまた視線をチラっと向ける。

そして何も言わずにふっと微笑むから、悔しくなったあたしは嘘を上乗せさせる。


「そうしたら違う星に着いちゃって、もう地球に戻れなくなっちゃうんだからっ!」


自分でも思う。

本当にくだらないって。


だけど……もっとあたしを見て欲しいんだもん。

あたしが隣にいるのに、柊くんの瞳は星ばかりを見つめるから。

もっと、構って欲しいんだもん。


もっと。

もっと……


「それも悪くねぇな」

「……悪いよ。困るでしょ、そんなのっ」


柊くんが困らなくても、あたしが困るのっ!

柊くんに会えなくなったら、あたしが寂しくて困るのに……


唇を尖らせたあたしに、柊くんは笑って、思い出したように言葉を付け足した。


「ああ、やっぱり俺も困る」

「……地球から見る星が好きなのに、見られなくなるから?」


どうせそんなとこでしょ。


分かるよ、そんなの……

ずっと見てきたんだから。


そんなんじゃなくて、

星なんかの理由じゃなくて、



あたしが欲しいのは――――……



「いや、星は大丈夫だろ。

他の星に行ったら、そこから地球が見られるし」

「じゃあ何?」


あたしの不貞腐れたような声に、柊くんは優しく目を細める。



「隣に沙織がいなくなるから」



消化不良を起こす言葉が、今夜も1つあたしの中へと落ちる。



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