上手く行く可能性は低いことは伏せていても、嘘ではない。

「……良いか。この国を守るために、要らぬ物などすべて擲つ必要がある。正々堂々として敗れるとすれば、汚い手を使ってでも勝つ。それには、お前たちの協力が不可欠になる。誰かがしくじれば、全員が死ぬと思え。これは演習ではない。生と死が隣り合わせの実戦だ」

 部下たちの目の色が変わり、俺はこれならば勝てるかもしれないと思った。

 すべては、ここからだ。

 心中にある焦りなど、司令官たる俺だけは、絶対に部下相手に見せてはいけない。

 常にゆったりと構え余裕ある態度を崩さず、どんな不測の事態も予定通りであるという表情を見せなければ、部下に対し不安を呼ぶことはしてはいけない。

 ああ……そうだ。とにかく俺の言う事さえ聞いて居れば、絶対に勝てるのだと信じさせなくは。

 事実にするのも、この俺だ。絶対に負ける訳にはいかない。

 深夜に及ぶ長い作戦会議を終え、俺が部屋へ戻ろうとすると、副官ジェームスが後に続き、静かな廊下で質問をした。