高い地位を持つ義母にも義妹にも馬鹿にされて、実の父にまるで売り飛ばされるようにして、キーブルグ侯爵家にやって来たのに。

 これでしがらみから逃れられたと安心したのも束の間、夫のアーロンはすぐに亡くなり、勘当までされるほどに素行が悪い放蕩者な彼の弟のヒルデガードは、財産ごと兄妻の私を引き継ぐ気満々だ。

 それに、亡き夫の子どもを孕った愛人まで現れてしまうの……?

 もう、なんだか、驚き悲しい感情なんて通り越して、逆に笑えて来てしまう。

 どうしてかしら。こんな私は、もうずっと幸せになんて……なれないのかもしれない。