執事クウェンティンが言うには領地には何代も仕える代官が居て、王都に住む私は報告を聞く程度で何もしなくて良いし、夫の喪が明ける一年ほどはゆっくりと傷心を慰めていてくださいと言った。
けれど、私はクウェンティンが悲しく辛い中で掛けてくれた優しい言葉を、そのままの意味では信じることが出来なかった。
執事クウェンティンは両親が早くに亡くなり、そんな彼を拾って育ててくれたという亡き夫への忠誠心が非常に高く、無表情で感情が見えづらいのもただの個性で悪い人ではないだろうと私も思っている。
けれど、領地や侯爵邸の管理を既にお世話になった主人が居なくなってしまったにも関わらず、忠実に仕えてくれる執事クウェンティンに丸投げすることは出来ない。
何故かというと、私は母が亡くなり父が義母と再婚したことで、人は利己的な生き物であると良く良く学んでいた。
母が生きていた頃には優しかった人たちも、私に優しくすれば身分の高い義母から睨まれるとなれば、逆に機嫌を取るために邪険に扱うようになり、すぐに手のひらを返した。
そんな彼らを非難することなんて、無力な私には無意味だった。
義母が公爵家の出だから強い権力を持っていることは事実で……強い風には逆らわないのが、一番で……私は何の力もない、ただの貴族令嬢でしかなかった。
自分が代行するからとクウェンティンが再三止めるのも聞かずに、領地のこと……侯爵邸の管理まで、私は懸命に勉強し自分のすべき仕事を覚えていった。
けれど、私はクウェンティンが悲しく辛い中で掛けてくれた優しい言葉を、そのままの意味では信じることが出来なかった。
執事クウェンティンは両親が早くに亡くなり、そんな彼を拾って育ててくれたという亡き夫への忠誠心が非常に高く、無表情で感情が見えづらいのもただの個性で悪い人ではないだろうと私も思っている。
けれど、領地や侯爵邸の管理を既にお世話になった主人が居なくなってしまったにも関わらず、忠実に仕えてくれる執事クウェンティンに丸投げすることは出来ない。
何故かというと、私は母が亡くなり父が義母と再婚したことで、人は利己的な生き物であると良く良く学んでいた。
母が生きていた頃には優しかった人たちも、私に優しくすれば身分の高い義母から睨まれるとなれば、逆に機嫌を取るために邪険に扱うようになり、すぐに手のひらを返した。
そんな彼らを非難することなんて、無力な私には無意味だった。
義母が公爵家の出だから強い権力を持っていることは事実で……強い風には逆らわないのが、一番で……私は何の力もない、ただの貴族令嬢でしかなかった。
自分が代行するからとクウェンティンが再三止めるのも聞かずに、領地のこと……侯爵邸の管理まで、私は懸命に勉強し自分のすべき仕事を覚えていった。