——私、ブランシュ・エタンセルがアーロン・キーブルグと結婚することになった経緯のはじまりは、約一年三ヶ月ほど前に遡る。
「……え……私宛に、縁談……ですか? ハンナ宛にではなく?」
エタンセル伯爵である父レナードに使用人の仕事を手伝い中に、いきなり呼び出され突然の縁談を聞かされて私は驚いていた。
「……そうだ。名高い将軍のキーブルク侯爵が、ブランシュを是非、自分の妻に迎えたいと希望されている……私もとても良い話だと思う……ブランシュには、カーラが亡くなってから、ここ数年は肩身の狭い思いをさせてしまったからな」
「はあ……」
決まり悪く頭をかいた父に、生返事をした私は、複雑な思いだった。
格上の侯爵家から、会ったこともない私へと名指しで、縁談が来たですって……?
こんなことを言ってしまうと切ない話だけど、私本人が一番に信じられない。けれど、条件を見れば、誰もが飛びつくほどにそれは良い縁談だと思う。
というか、お父様……前妻の娘の立場について、一応は傍観している自分が悪いことをしたという自覚はあったんだ。ひどい人だわ。
前妻であるカーラお母様が三年前に亡くなり、喪が明けてすぐにお父様が再婚した後妻グレイスは、当然のように前妻の娘である私を虐げた。
自身の連れ子義妹ハンナを偏重して可愛がり、身体は大柄な彼女より小さいからと、年上のはずの私は、いつもハンナのお下がりのドレスを着ていた。
「……え……私宛に、縁談……ですか? ハンナ宛にではなく?」
エタンセル伯爵である父レナードに使用人の仕事を手伝い中に、いきなり呼び出され突然の縁談を聞かされて私は驚いていた。
「……そうだ。名高い将軍のキーブルク侯爵が、ブランシュを是非、自分の妻に迎えたいと希望されている……私もとても良い話だと思う……ブランシュには、カーラが亡くなってから、ここ数年は肩身の狭い思いをさせてしまったからな」
「はあ……」
決まり悪く頭をかいた父に、生返事をした私は、複雑な思いだった。
格上の侯爵家から、会ったこともない私へと名指しで、縁談が来たですって……?
こんなことを言ってしまうと切ない話だけど、私本人が一番に信じられない。けれど、条件を見れば、誰もが飛びつくほどにそれは良い縁談だと思う。
というか、お父様……前妻の娘の立場について、一応は傍観している自分が悪いことをしたという自覚はあったんだ。ひどい人だわ。
前妻であるカーラお母様が三年前に亡くなり、喪が明けてすぐにお父様が再婚した後妻グレイスは、当然のように前妻の娘である私を虐げた。
自身の連れ子義妹ハンナを偏重して可愛がり、身体は大柄な彼女より小さいからと、年上のはずの私は、いつもハンナのお下がりのドレスを着ていた。