「それが聞けて……本当に安心しました。ただ、領地経営については無理なさらないでください。奥様」

 クウェンティンは未だに私がキーブルグ家の領地経営を、夫の代わりに全部してしまっていることについて、あまり良く思っていない。

 きっと他の貴婦人のように、お茶会や夜会に出て優雅に遊んで暮らせと言いたいのだろう。

「まあ……領地経営って、面白いのよ。改善して行けば上手くいくのも楽しいわ。クウェンティン。けれど、それもアーロンと結婚してから知ったわ。私、アーロンに見初められて、本当に幸運だったわね」

「そう言っていただけて、僕も旦那様にお仕えしている僕も良かったと思います……ですが、深夜まで執務されることについてはですね……僕も……なので……」

 クウェンティンはキーブルグ侯爵の未亡人をしていた一年間の時のように説教を始めたけれど、あの時とは違って私は聞き流し、剣の稽古に汗を流す夫に目を向けた。

Fin