「……そのドレスは、もう二度と着ないでくれ。俺が別のものを用意するから、捨てるように。頼む」

 振り返り心底苛立たしい様子で言ったアーロンの言葉に、私は何度も頷くしかなかった。それに何か返事をしようにも、あまりに驚き過ぎてしまって、どうしても声が出なかったのだ。

 私はこれまでに、少し無理をしていたのかもしれない。数ヶ月間、深夜に及ぶ書類仕事、夫の弟からの執拗な誘惑、夫の愛人からの訳のわからない要求。

 ……そして、極め付きは死んだはずの夫の帰還。

「おい……っブランシュ!?」

 ふっと意識が遠くなったのを感じ、先ほど会ったばかりの夫の胸に飛び込むことになってしまった。