「義姉上……良い加減にしてください。兄上はもうすぐ死にます。これからは、俺に逆らうと不幸になりますよ」
馬鹿にしたような笑いを浮かべたヒルデガードは、私が何も出来ないと侮っているらしい。
「だから、どうしたの?」
彼の言葉を畳みかけるように怯まずにそう言ってから、ヒルデガードの目を真っ直ぐ見つめた。だから、どうしたの。それが……私は、実家に返されても構わない。
今ここで、夫アーロンの命が救えるならば。
怪我の痛みが酷いのか膝をついて座り込んだアーロンは出血のためか、顔色が悪い。早くこのヒルデガードを退け、彼を医者に診せなくては。
さっきまで周囲の人たちはあんなに数居たのに、真っ昼間の惨劇に恐れをなしたのか人っ子一人居ない。
助けを求めるにも、アーロンの命を狙うヒルデガードから、とにかく守らなければならない。
……アーロンさえ、生きて居れば。私は一年間、ずっとそう思って居た。
私の願い通りに、彼は生きて居てくれた。私を国ごと守ってくれた。
そして、今度は私が夫を守るのだ。
私は近くに居るアーロンが腰に佩いていた剣へと手を掛けた。
馬鹿にしたような笑いを浮かべたヒルデガードは、私が何も出来ないと侮っているらしい。
「だから、どうしたの?」
彼の言葉を畳みかけるように怯まずにそう言ってから、ヒルデガードの目を真っ直ぐ見つめた。だから、どうしたの。それが……私は、実家に返されても構わない。
今ここで、夫アーロンの命が救えるならば。
怪我の痛みが酷いのか膝をついて座り込んだアーロンは出血のためか、顔色が悪い。早くこのヒルデガードを退け、彼を医者に診せなくては。
さっきまで周囲の人たちはあんなに数居たのに、真っ昼間の惨劇に恐れをなしたのか人っ子一人居ない。
助けを求めるにも、アーロンの命を狙うヒルデガードから、とにかく守らなければならない。
……アーロンさえ、生きて居れば。私は一年間、ずっとそう思って居た。
私の願い通りに、彼は生きて居てくれた。私を国ごと守ってくれた。
そして、今度は私が夫を守るのだ。
私は近くに居るアーロンが腰に佩いていた剣へと手を掛けた。