「私……失礼かもしれないのですが、こういった事が苦手そうな旦那様が、私のために楽しませようと努力してくださったことが、とても嬉しかったです。ありがとうございます」

「……いや、ブランシュが喜んでくれて嬉しい。俺もそれを聞いて安心した」

 優しく微笑んでくれたアーロンは、これまでに見てきた荒々しい部分が嘘だったようだ。

 やはり、庭師サムが私に言ってくれた通りだった。軍人として他方に舐められてはいけないと、怖い部分もあるけれど、夫アーロンは思いやりがありとても優しい人なのだと。

「アーロン。その……アーロンは帰って来た時の印象が強くて、怖くてどう思って居るかわからなくて……これまでちゃんと話せずに、ごめんなさい」

「いいや。俺が悪かった。もう少し早くに君に打ち明けていれば、こんなことには」

「アーロンは何も悪くないです……私だって、アーロンと向き合う事を避けていましたから」

 アーロンは慌てて謝ってくれたけれど、彼を避けずに言葉を交わすことが出来ていれば誤解することもなかった。