翌日は少しだけ風邪気味だったけれど、私はすぐに体調を治すことが出来た。

 アーロンが呼んでくれたという若い医者が朝から往診してくれていたし、高価な薬だって今は飲むことが出来た。

 エタンセル伯爵家では、風邪をひいたとしも、私はただベッドで眠るしか出来なかった。それを思えば、今は夢のような生活を送れていた。

 翌日、朝食を取りに来たアーロンと対面する際に、私は少しだけ緊張していた。

 だって、私は大きな勘違いをしていた。アーロンは私を知っていたし、私と結婚するために将軍になったと聞いた。

 既に誤解は解けていて……彼が私のことを曇りなく好きでいてくれることは、わかっていた。

「おはよう。ブランシュ。身体は、もう大丈夫なのか?」

 いつもと変わらない様子でそう聞かれたので、先に席についていた私は彼の問いに慌てて頷いた。

「……ええ。ありがとう。アーロンの呼んでくれたお医者様が処方してくれたお薬が良かったのね」

 風邪をひいた時に、こんなにも早く回復したのは初めてだった。

「あれは、キーブルグ家にゆかりのある家の医者なんだ。口は悪いけど、腕は確かだっただろう?」