「嫌だ。性に合わないと思う。俺は剣に生きるんだ。強い傭兵になれば、お金には困らない。貴族であれば、王には逆らえない」

「この歳で、そんなことを? ……すごい。格好良いわ。アーロン」

 ブランシュは軽く拍手をして、俺のことを褒めた。

「そうだろう。俺もそう思ってるんだ」

 真面目な顔で、ブランシュは真剣に頷いた。

「ええ……きっと、アーロンなら、名のある傭兵になるわね」

 俺は心の中で、驚いていた。これまでに傭兵になりたいと話しても、まだ子どもだからとため息をつかれるか、何を馬鹿な事をと嘲られるだけだった。

 彼女は産まれて初めて俺がやりたいと思って居ることを、笑わなかった人だった。

 もしかしたら、ブランシュは俺のことをかなり年下だと思っているのかもしれない。今のところ、彼女よりもかなり背が低いし、同じ年齢の同性よりも童顔である自覚はあった。

 けれど、ブランシュはあくまで自然体で、嘘をついている様子もない。

 ただそう思ったから、素直に口に出しただけのようなのだ。

 それが……とても、嬉しかった。

「……そう思うか?」