「……ブランシュ。グラスが空いている。何か代わりの物を?」
アーロンに指摘されて、私は慌てて彼の方を見た。
いけない。今日はアーロンと一緒に夜会に出席して話を聞こうと考えていたはずなのに、義妹ハンナのことがあってすっかり上の空になってしまった。
「あっ……ごめんなさい。これで、十分です」
アーロンは微笑んで頷き、私の持っていたグラスを取り、近くに居たウェイターの持つトレイの上へと戻した。
今夜の夜会の始め、勝利した軍の司令官として彼は王に紹介され、こうして集まった多くの貴族たちへ向け挨拶をした。
ハンナに話しかけられて、見逃してしまったけれど、夫は本当にすごい人なのだと、感心するしかない。
私はこんな多くの人前で話すことなど、とても出来ないもの。
「ブランシュ。君はその青いドレスが良く似合う。それは、俺の好みになってしまったが、気に入る物を、何着でも作らせると良い」
「ありがとうございます……」
今私が着ている青いドレスは、首元まできっちりと布で覆い、肌が見える部分がとても少ない。あの色っぽい赤いドレスと比べれば、作りの違いは一目瞭然だった。
妻の私の肌を、誰にも見られたくないという彼の無言の気持ちが見えるようで、何も言われていないのに照れてしまう。
アーロンに指摘されて、私は慌てて彼の方を見た。
いけない。今日はアーロンと一緒に夜会に出席して話を聞こうと考えていたはずなのに、義妹ハンナのことがあってすっかり上の空になってしまった。
「あっ……ごめんなさい。これで、十分です」
アーロンは微笑んで頷き、私の持っていたグラスを取り、近くに居たウェイターの持つトレイの上へと戻した。
今夜の夜会の始め、勝利した軍の司令官として彼は王に紹介され、こうして集まった多くの貴族たちへ向け挨拶をした。
ハンナに話しかけられて、見逃してしまったけれど、夫は本当にすごい人なのだと、感心するしかない。
私はこんな多くの人前で話すことなど、とても出来ないもの。
「ブランシュ。君はその青いドレスが良く似合う。それは、俺の好みになってしまったが、気に入る物を、何着でも作らせると良い」
「ありがとうございます……」
今私が着ている青いドレスは、首元まできっちりと布で覆い、肌が見える部分がとても少ない。あの色っぽい赤いドレスと比べれば、作りの違いは一目瞭然だった。
妻の私の肌を、誰にも見られたくないという彼の無言の気持ちが見えるようで、何も言われていないのに照れてしまう。