「昨夜から奥様は伏せっておりましたので、旦那様は今夜お一人で出席されることを予定されております」

 クウェンティンはそう言って、私の返答を待っていた。

 そうね。つまり、私が今夜一緒に出席するか、どうするかを知りたいのよね。

「まあ……どうしようかしら。私、喪服とあの赤いドレスしか持っていなくて……」

 アーロンと共に出席しようにも、夜会に相応しいドレスがないから出席出来ない。

「こういうこともあろうかと、旦那様があの赤いドレスを勝手に捨てたお詫びに、奥様が行きつけのあのサロンでドレスを作らせました。よかったら、見られますか?」

「あの、赤いドレス……アーロン、捨ててしまったの?」

 確かにあれを着ていたのを見られた時、彼はひどく怒っていたけど、既に捨ててしまっていたんだ……。

「ええ。ですが、既に代わりのドレスを用意してございますので、問題ないかと」

 合理的な考えのクウェンティンはそう言って、私の衣装部屋から、真新しい青いドレスを持ってきた。

「あ……青いドレスね。素敵」

 私はアーロンが帰ってきたばかりのあの時、色を尋ねた理由をここで知った。