自らを死んだことにして危機感を抱いた他の貴族たちからも援軍を集め、三倍もの軍勢に打ち勝ったのだから、王家直轄地であった広い領地を褒美として与えられたり、莫大な報奨金なども受け取ったらしい。

 国を守ったアーロンが今回の戦いで成し遂げたことを考えれば、それでも安いものなのかもしれない。

 私の方だって彼に、どうしても聞きたいことがあった。けれど、お茶を飲んでいる間、ずっと勇気は出なかった。

 ……どうして、私を妻に望んでくれたの? と。

 母が亡くなって義母が来たら、私はほぼ外出せずに、使用人のような暮らしをしていた。

 アーロンから見初められる可能性なんて、ほぼないと言って良い。

 何を期待しているのだろう……一目惚れ? 私のことが好きだから?

 そんなことが、あるはずもない。だって、私たちは会ったこともないのに。

 こんなにも優しく見えるアーロンだって、私を利用したいと考えていると知るのが怖いから?

 ……わからない。心の中を渦巻くモヤモヤを解決するには、彼に直接聞くしかない。