ブラン家を出発した馬車は、王都を抜け北へと向かうようだ。通常であれば、王都から北の辺境までの道程は、馬車で5日~7日ほどかかるそうだが、今回は王都にあるクレメント辺境伯爵家のタウンハウスから、護衛と御者を兼務する三人を帯同させているため、四日の予定を組んでいるそうだ。そんな挑戦的ともいえる計画を立てられるのは、相当旅慣れた三人なのだろう。四人が乗る馬車も、がっちりしていて、安定性も抜群だ。
「すごいわね、この馬車。特注かしら」
「本当ですね。こんな頑丈そうな馬車に乗るのは初めてです」
エマとリアムは、自分たちが乗っている馬車にとても興味があるようだ。馬車のことを話しつつ、エマはリアムに問いかけた。
「今回、リアム君はどうして辺境に行きたいと思ったの?」
「……姉が心配で」
「そっか……お父さんもリアム君の辺境行きについては、そんなに反対はしなかったのかな?」
「そうですね。すぐに賛成はしてもらえませんでしたが、許してもらえました。それから、誰かに会ったり、何かあったらすぐに手紙を書くように言われました」
「そう……何かあったら、一緒に行動している誰かに直ぐに伝えてね」
「はい」
エマとリアムが話をしている横では、ルイーズとエリーが窓から外の景色を眺めていた。
「ねえ、エリー」
「なに?」
「私、リオンさんに会ったことがあるのかもしれないわ」
「何か気になることがあったの?」
「うん……リオンさんを見ていると、知り合いのような……でも、何も思い浮かばないの。これも失った記憶が関係しているのかしら」
「すごいわね、この馬車。特注かしら」
「本当ですね。こんな頑丈そうな馬車に乗るのは初めてです」
エマとリアムは、自分たちが乗っている馬車にとても興味があるようだ。馬車のことを話しつつ、エマはリアムに問いかけた。
「今回、リアム君はどうして辺境に行きたいと思ったの?」
「……姉が心配で」
「そっか……お父さんもリアム君の辺境行きについては、そんなに反対はしなかったのかな?」
「そうですね。すぐに賛成はしてもらえませんでしたが、許してもらえました。それから、誰かに会ったり、何かあったらすぐに手紙を書くように言われました」
「そう……何かあったら、一緒に行動している誰かに直ぐに伝えてね」
「はい」
エマとリアムが話をしている横では、ルイーズとエリーが窓から外の景色を眺めていた。
「ねえ、エリー」
「なに?」
「私、リオンさんに会ったことがあるのかもしれないわ」
「何か気になることがあったの?」
「うん……リオンさんを見ていると、知り合いのような……でも、何も思い浮かばないの。これも失った記憶が関係しているのかしら」