「そうだわ、エリーから聞いたのだけど、レアに良いこと教えてあげる」

「何だ?」

「ルーちゃん、乗馬を習いたいそうよ。エリーから、誰か適任者がいたら紹介してあげてほしいって、前から頼まれていたのよ。でも、ご家族には言えないらしいから、安全な場所で安全な指導をお願いしたいのだけど、レアどうかしら?」

「いつからでも良いぞ」

即答のレアに、笑いが零れるエマ。その隣では、レアを直視していたリオンが俯き様に何やら考え込んでいるようだ。

その様子を見ていたエリザベスが、エマの服の袖を引きながら小声で話し掛ける。

「エマ、何を考えているの? 御家族に知らせないなんて駄目よ」

「それは大丈夫よ。リザ、見て。二人とも乗り気よ。きっとこれがきっかけで、状況がまた変わるわ。それに、ルーちゃんもエリーも、知りたいはずよ。私だったら、守られてるだけなんていやだわ。二人に無理強いするつもりはないけど、やりたいと思うことはやらせてあげたいし、知りたいのなら教えてあげたい」

「もう、エマ……」

エマの言い分に、言葉を失い何も言い返せないエリザベスを見て、キースとアレックスが声を掛けた。

「良いんじゃないか。これからのことを考えたら、できることは多いほうが良い。様々な状況に対応できた方が安心だ。ご両親だって、いつでもどこでも守れるわけじゃないんだ」

「そうだね」

二人からも同じような言葉を聞いたエリザベスは、目を閉じてから頷いた。