その日の夜、年配紳士たちの会合はいつもより早めの時間から始まった。

「今夜は、ルイーズお嬢様が我々のために、軽めの軽食を用意してくださったようだ。皆、晩御飯は軽めに済ませてきてくれたか」
「ああ」
「大丈夫だ、いくらでも食べられるぞ」
「わしは食べていないから大丈夫だ」

 執事トーマスの問いかけに、御者モーリスと料理長トミー、そして庭師のトムが答えた。

「そうか、皆の協力に感謝する」

 トーマスはローラから、会合を早めに出来ないかと相談され、皆に晩御飯を控えめに取るように伝えていたのだ。

 ルイーズはローラから、四人は晩御飯を軽く食べてくることを聞いたため、夕方からローストビーフのサンドウィッチと野菜のスープ、そしてフルーツを用意した。

 ルイーズが四人の待機する部屋へと着くと、トーマスがドアを開けて待っていてくれた。

「急なお願いを聞いてくれてありがとう。今夜は、皆に感謝の気持ちを込めて紅茶を淹れさせてください」
「ルイーズお嬢様……」
「ありがとうございます。お待ちしてましたよ」
「さあさあ、こちらにどうぞ」

 モーリスが感動している横で、トミーとトムがルイーズに部屋に入るように勧めた。

 皆の前にあるテーブルに、夕方作った軽食やスコーンを並べてから、トーマスとトミー、トムの三人には渋めの紅茶を、モーリスには少し味が軽めの紅茶を淹れた。

「皆さん、いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。……そうだわ、これはローラが用意してくれたの。後で、皆で飲んでね。それでは、ごゆっくり召し上がってください」

 ローラから渡されていたワインをトーマスに渡して退出するルイーズ。

「……グスッ」
「泣くな、モーリス。あんなに大きくなられて……。大旦那様もきっと、安心なされる」
「ああ」
「そうだな」

 感極まって言葉にならないモーリスと、感慨無量の三人。
 ルイーズの成長と、生き生きとした表情を見ることができた今夜の会合は、ワインを片手に夜遅くまで続いたそうだ。