執務室へ来たルイーズは、ドアをノックしてから室内に入った。
 部屋の中では、ルーベルトとエイミー、そしてリアムとミシェルが待っていた。トーマスは家族団欒ということで、遠慮したようだ。

「お待たせして申し訳ありません」
「良いのよ。皆楽しみに待っていたわよ」

 エイミーの嬉しそうに笑う姿に嬉しくなったルイーズは、皆の前にスコーンとキッシュを並べてから、紅茶を淹れた。ルーベルトには渋めの紅茶をストレートで、エイミーには紅茶にミントの葉を添えて出す。リアムには紅茶にミルクを入れ、ミシェルにはミルクを出す。
「どうぞ、お召し上がりください」

 ルイーズから勧められ、紅茶を口にするルーベルトとエイミー。リアムとミシェルはスコーンに夢中のようだ。

 リアムは頷きながら、二つのスコーンにクリームとハチミツを掛ける。一つをミシェルに渡して、一緒に食べ始めた。ニコニコ顔でスコーンをほお張るミシェルを、ルイーズとリアムは顔を見合わせ笑いあった。

「姉上、とても美味しいです。」
「ねえたま、すごくおいしいよ」
「二人とも、ありがとう。良かったら、キッシュも食べてね」

「お父様、お母様もお味はいかがですか?」
「ルイーズ、とても美味しいわ。沢山練習したのね」

 ルイーズを褒めるエイミーの横で、ルーベルトは紅茶を一口含んだ後から、ずっと紅茶を見つめていた。その様子を横で見ていたエイミーから脇腹を突かれ、ハッとして顔を上げた。

「美味しかったよ。ありがとう」
涙声で答えるルーベルトに、エイミーは呆れながらも微笑んだ。

 その後は、ルイーズも、エイミーに誘われ一緒に紅茶を楽しんだようだ。