エリザベスとレア、そしてエマの三人は、お茶会が終了した後に生徒会室へと戻って来た。三人はそれぞれの定位置であるソファーに腰を掛けて、何やら思案しているようだ。

 落ち着いてきたころ、エマが口を開き話し出した。

「レア、先ずはあなたに言いたいことがあるわ。今日のお茶会は授業の一環だってこと、分かっているわよね。それなのに、あんなにもサンドイッチをバクバクと食べて! あそこには、食事をしに行っていたわけではないのよ。時と場所を考えて」

「まあ、そう怒ることもないじゃない。レアの行動によって、あの子たちの対応を見ることもできたのだし。ゲストの観察も、迅速な対応も出来ていたのではないかしら。エマ……、そう怒らないで……、眉間に皺が寄っているわよ」

 エリザベスの言葉を聞いたエマは、急いで眉間の皺を確認しているようだ。

「でも、エマの言うことにも一理あるわよね。レア、私たちは淑女科の生徒なのよ。しかも、生徒会に属しているの。これでも、生徒の見本にならなければいけない存在なのよ。次回からは気をつけましょう、レア」

「ああ、わかった。すまなかった、次回からは気をつける」

 反省するレアに、エマは頷き、エリザベスは「そうね、気をつけましょう」と言葉を続けた。これで、この話も終わりかと思われたその時、エマがハッとした表情でレアを見つめた。

「違うわ、そうじゃないのよ。言おうとしたことは別にあるの。レア、エリーとルーちゃんのことはそっとしておくようにお願いしたでしょ。リザもよ、お願いだから二人の事はそっとしておいてね」

「何だか、不自然ね。今日知り合ったのだから、どこかで会えば声を掛けることもあるだろうに。まあ……、良く分からないけれど、分かったわ」

「……分かった」

 エマの言わんとしていることが、さっぱり分からないという顔の二人だったが、何か事情があるだろうことは察したのか、ここは引き下がったようだ。

 エマは自分の言い分を聞き入れてくれた二人に、一先ず安心したようだ。