ルイーズとミアが、茶葉とお菓子の確認をしていると、後ろからクレアが話しかけてきた。

「ねえ、私たちのテーブルなんだけど……、ティースタンドの下段を見て。サンドイッチが既にないわ。あの方、何だかすごい勢いで食べてるわよね」

「……あんなきれいな人が……。すごいわね。エッ、もしかしてこれって何かの罠?引っ掛け? ……かしら」

「本当ね。すごい勢いで食べてるわ。普通にお腹が空いているのかしら?私、軽食を補充してくるわ」
どうやらルイーズが、軽食の補助に向かうようだ。貴族令嬢があんなに食べるなんて、三人も想定外だろう。三人は急いで軽食を準備する。

 スコーンとクロテッドクリーム、そしてサンドイッチ。それらをティーワゴンに乗せて運ぶようだ。ルイーズは、急ぎ足でテーブルに向かった。

 テーブルに着くと、上級生に丁寧に声を掛けて、ティースタンドのお皿にサンドイッチとスコーンを補充する。

「ありがとう。もう少し頂くよ」

 辺境伯令嬢のレアは、補充したばかりのサンドイッチを手に取りながら、ルイーズにお礼を伝えた。

「もしかして、君がルーちゃん?」
「はい。エマさんからは、そう呼ばれています。ルイーズと申します」
「そう。ルーちゃん、ありがとう。朝から剣の稽古をしていたから、お腹が空いてしまってな。助かったよ」
「剣……、ですか。あ、申し訳ございません……。喜んでいただけて良かったです。どうぞごゆっくり召し上がってください」

 レアの言葉に躊躇ったのか、少したどたどしかったが、レアにも丁寧に接することができて良かったのではないだろうか。

 しかし、その様子を心配そうに見守るエリー。ルイーズが補充を終えて、控室の方に向かって行くと、エリーはレアの横にいるエマをじっと見つめた。

 エリーのもの言いたげな様子に気づくと、エマは声を出さずに『ごめん』と口を動かした。

 その後、クレアとエリーが配置を交換して給仕をして、ルイーズとミアが補充を繰り返した。他の侍女科の生徒たちも、大きな失敗をすることはなく、無事に終えられたようだ。

 こうして初めての合同授業(お茶会)は終了した。