カルディニア王国女学院の侍女科では、女性の身の回りのお世話だけでなく、医療や家事全般を学ぶ。王宮で、王妃や王女、その他に高貴な女性に仕える《女官》、貴族の屋敷で女主人やその他の女性に仕える《侍女》、家事全般を担う《メイド》、全てにおいて対応できるスペシャリストを育てる目的があるため、侍女科で学ぶ内容は多岐にわたる。

 貴族の屋敷に、行儀見習いとして奉公しても、侍女が家事を習うことはない。そのため、侍女科で学ぶことが出来れば、将来侍女として働く時の強みになるだろう。

 侍女科では、爵位が下位の貴族令嬢の他に、裕福な平民の生徒も多いため、一年目は淑女教育から始まり、礼儀作法を徹底的に教え込まれる。

 ルイーズとエリーは、貴族子女として幼少の頃から淑女教育は受けているため、礼儀作法については淑女科の教員から合格をもらえている。侍女科にも、その成績は送られているそうで、侍女科でも早々に合格扱いにしてもらえたようだ。

 同学年の侍女科の生徒たちよりも、遅れを取っていることが、二人にとっては不安の一つだったようだが、それらも解消したようだ。

 ローラやマーサに教えを乞うも、学院の教員から一から学ぶことを勧められたので、ルイーズは二人の言うことを素直に聞き入れた。
そんなわけで、侍女科での学びに備えるため、淑女教育で学んだことや勉学に精を出し、侍女科に移るまでの日々を過ごした。