学院での授業も終わり、屋敷に帰ったルイーズは、弟と妹がいると思われる図書室に向かうようだ。

「リアム、ミシェル」

 姉の声に気付くと、読んでいた絵本から顔を上げて、返事をする二人。

「姉上、お帰りなさい」「ねえたま、おかえり」

「ただいま。二人とも絵本を読んでいたの?」

「はい」「にいたまにね、よんでもらったの」

「そう、ミシェル良かったわね。リアムありがとう」

 頷くリアムと笑顔のミシェル。

「そうだわ……。今日は二人に嬉しいお知らせがあります」

「何ですか」「なぁーに?」
「週末にエリーが我が家に遊びに来ます。二人とも何か予定はありますか?」

「エリーさんが……。予定なんてありません!」「ありましぇん!」

「そう、それなら良かったわ。当日は、エリーのために美味しいお菓子を三人で作って、お出迎えしましょう」

「はい……楽しみです」「うん!」

 お昼休憩の際に、エリーから週末の休みに屋敷へ遊びに行っても良いか、と聞かれたルイーズは、嬉しさからすぐさま承諾した。しかし、あれは自分を心配したエリーの気遣いなのだと、今更ながらに気づいたようだ。

 二人の喜ぶ姿を微笑ましく思いながら、図書室を後にしたルイーズ。

 先ほど出迎えてくれた執事のトーマスに、父の所在を確認するや否や、侍女のローラと一緒に分かっているとばかりの顔で頷かれた。最後にローラはファイティングポーズを取っていたが、良いのだろうか、あのポーズは……。二人が自分の顔を見ただけで、何でも察してしまう鋭さに感心しながら、父親の執務室に向かった。