暑さも落ち着いてきた頃に、新学期が始まった。長期休暇前とは違う教室の雰囲気に、皆の本気度を感じたルイーズは、講義や実習に意欲を持って取り組んでいるようだ。朝から夕方まで勉学に励み、屋敷に戻るとリアムとミシェルと共に過ごし、毎晩遅い時間まで予習と復習を熟す。そんなルイーズを心配してか、エリーとクレア、ミアの三人が休日の誘いを持ちかけた。

「ねえルイーズ、今度の休みに私の家に遊びに来ない?」
「良いわね、その後は買い物に行っても良いし……、ルイーズ行こう」
「たまには、息抜きも必要よ」

 ミアの呼びかけに、エリーとクレアも遊びの話に乗ってきたようだ。

「皆、ありがとう……。遊びに行きたい」
「よし!じゃあ、今度の休みにうちの商会に集合ね」

 ルイーズが笑顔で頷くと、皆は少しだけホッとしたような表情を見せた。その後もこの集まりは、定期的に行われているようだ。四人の誰かが疲れた顔をしていると、遊びに誘い出し、心ゆくまで遊ぶ。その日はルイーズも、屋敷に戻ると爆睡している。そんな風にリフレッシュしながら、講義・実習・試験を繰り返して、気がつけば最終学年への進級が目前に迫っていた。

 教室では、ルイーズとエリーが生徒会メンバーやパーティーの話をしているようだ。

「もう、皆さん卒業なのね……。何だか、寂しいわ」
「そうね。レアさんも、あれから数回しか登校していないし……成績はクリアしていたから、学院長先生が卒業を認めてくれたそうよ」
「それは、良かったわ」
「でも、忙しいわよね。卒業式の一週間後に、王宮主催のパーティーが開かれるらしいわ。私たちには関係ないけど、卒業生は出席が決まっているし、今回は問題の件でも王族から話があるそうよ」
「ようやく、終わるのね」
「そうね」

 カルディニア王国の全貴族が待ち望んでいたことだろう。