「キャサリン『ここまでやった』とは、何をやったんだ? ……話すわけないか、ブライス、キャサリンを地下に連れて行ってくれ!」

頷くブライスは、気分の悪そうなキャサリンを抱えて地下に向かうため、部屋を出て行った。二人を見送ったリオンは、エマのいる方へ振り返る。

「シャロン伯爵令嬢、どういうことですか? こんなこと、計画にはなかったはずですが?」

「あの方は、どんな経緯であれ貴方を想っているのよ。偽物が出てきたところで、直ぐに気づかれるわ。やっぱり本物が出てこないと、本音は聞き出せないわ」

「エマ、聞いてないぞ」

部屋に入ってきたキースが、エマに歩み寄った。

「女の感は鋭いのよ。私では、あそこまで興奮状態にできなかったわ。だから、途中でルーちゃんに来てもらうようにメアリーに頼んでおいたの」

「今度からは、事前に教えてくれ」
「分かったわ。でも、ルーちゃんがここに来ることを知ったら許してくれなかったでしょう?」
「まあ、それは無理だろうな。それより、リオン早く次に行くぞ」

「わかった」

リオンとキースは部屋を出て行った。

「エマさん、私もリリーちゃんのところに戻ります」
「ルーちゃん、呼び出してごめんね」

顔を横に振りながら、軽く微笑んだルイーズはリリーの元へ急いで戻っていった。

「メアリーさん、ただいま戻りました」
「ルイーズさん、黙っていてごめんなさい」

ルイーズに、騙すようなやり方で行かせたことを謝るメアリー。

「いいえ、できれば教えてほしかったですが。今は、私に出来ることをするだけです」

ルイーズは、リリーのお世話に専念することを改めて誓った。