キャサリンが滞在予定の客室では、キャサリンとエマがソファーに腰掛け向かい合ってお茶をしている。

「それで? 貴女、リオンとはどういう関係なの?」

「まだ婚約はしていないけど、この先はどうかしら」

「……イヤな女。私は小さい頃からリオンと婚約すると聞かされてきたわ。こんな小国の伯爵令嬢と婚約するより、大国の伯爵令嬢である私と婚約した方がリオンにとっても利があるに決まっているわ」

「小さい頃から婚約する、と聞かされていただけでしょう? 本人同士の気持ちなんて関係ないのかしら? リオンが誰を想っているかなんて…考えないのね~」

「誰を想っている…? まさか……、自分が想われてるとでも言いたいの⁉」

「そんなこと…自分の口からは言えないわ~」

苛立つ様子のキャサリンと、煽ることをやめないエマ。

「王都で会えたのは、月に数回だったかしら? 中々お会いできなかったけど、次に会うまでの時間も、会いに行くまでの道程も楽しいのよね。馬車からお花畑を見たり、素敵な建物に着いたらお茶をしてお話をしたり……ね。今回の滞在も、まだ婚約をしていないから、友人も一緒なの。想い合っているなら、早く話がまとまれば良いのだけど……」

「……リオンは、本当に貴女のような人を想っているのかしら? そうは思えないのだけど?」

「さあ~どうかしら?」

その時、ドアをノックする音が聞こえた。

「紅茶をお持ちいたしました」
「入ってちょうだい」

キャサリンの部屋へ入室するルイーズ。

「失礼いたします。紅茶を新しいものに代えさせていただいてもよろしいでしょうか」
「ええ、お願いするわ」
「かしこまりました」

紅茶を淹れなおすルイーズをジッと見つめるキャサリン。