「……隣国の人間を捕縛することを想定して、王宮の騎士団から護衛としてついて来たの。今回の問題には、隣国に住むクレメント家の身内が絡んでいるでしょう? 解決するには、彼女たちがこちらに来たタイミングで、決着をつけるしかないと思ったのでしょうけど……本来、国の要である辺境伯爵家が、遠征帰還パーティーのような場で、身内の恥をさらすわけにはいかないの。それに、隣国の人間が絡んでいるから、国に逐一報告もしないといけないわ。リオンさんもそれが分かっていて、陛下に報告していたみたいね。」

「恥をさらすわけにはいかない……ということは、パーティー前日までに、決着をつけるということですか? でも、隣国の方たちがいつ到着されるの分かりませんよね?」

「そうね。でも、通常であれば、遠方の者は前日までにパーティーが開催される貴族家へ入る方がほとんどなの。しかも、レアの叔母とその娘さんが参加されるのよ。クレメント家の当主と次期当主に、想いを寄せているそうじゃない。この機会を逃すはずないと思うのよね」

「この機会とは、何ですか?」

エリザベスに質問を投げ続けるリアム。

「王宮ではなく、貴族家でのパーティーよ。二人は、たいていの者は気が緩むとでも思っているのではないかしら。普段、クレメント家では、遠征帰還パーティーなんて、そんなに開催しないらしいわ。それを開催するように仕向けて、使用人も送り込んで……相手の本気度を感じるでしょう?」

ルイーズとエリーそしてリアムの三人は、俯いたまま考え込んでいるようだ。