ブラン姉弟の部屋には、朝からエリーが訪ねていた。

「エマさんは、朝からパーティーの打ち合わせなのよね?」
「そうらしいわ」
「僕たちにも、手伝えることがあると良いですね」

ルイーズとエリー、そしてリアムの三人がソファーに座り話をしているそのとき、ドアをノックして、部屋へ入ってきた人物がいた。ここにいるはずのないエリザベスだ。

「入るわよ。エリー、ルーちゃんお久しぶりね。あら、貴方がリアム君かしら? 私は、エリザベス・ローレン。エマとエリーの従姉よ。どうぞよろしくね」

「ローレン…公爵家のご令嬢ですか? 初めまして、ブラン子爵家嫡男のリアム・ブランと申します。以後、お見知りおきを」

「リアム君、エマから聞いているわ。今回の作戦を考えたんですってね。とても良い案だわ。これからもよろしくね」

「はい……頑張ります」

「リザちゃん、来るなんて一言も聞いていないわ。王都から離れて大丈夫なの?」

エリーがエリザベスに問いかける。

「大丈夫、諸々のことは終わらせてきたわ。それに、ルーちゃんとリリーちゃんが大変な状況だと聞いて、急いで来たのよ。でも、二人とも元気そうで安心したわ」

エリザベスはルイーズの顔を見て安心した様な表情だ。

「エリザベス様、ご心配をおかけして申し訳ございません。私はもう大丈夫です」
「本当に良かったわ。でも、ここへ来てから色々なことがあって、ルーちゃんは目的が果たせていないのよね? それが残念ね」
「……練習はしていませんが、先日リオンさんに、馬に乗せていただきました」
「そう……二人でどこかへお出かけしたのかしら?」
「……お花畑へ…行きました」
「まあ、やるわね! それで?」

「リザちゃん! そこまでよ」

エリザベスの質問攻めにも、素直に答えるルイーズ。それを心配してか、エリーがエリザベスに釘を刺したようだ。