「エリー、声が響いてるわよ」

「…………気持ちが抑えられなかったの」

心情を吐露するエリーに、エマが軽い溜息を吐いた。

「エリーが、ルーちゃんを大切に思う気持ちは分かるわ。でも、エリーのそんな行動は望んでいないと思うわよ。

それに、ルーちゃんは強いわよ。好奇心も旺盛だし、切り替えも早い。自ら答えも探して、前に進んでる。周りは、本当に助けを必要としている時だけ、手を貸してあげれば良いと思うのよね。
社交界に出れば、姑息な手を使ってくる女性だって多いのよ。あんな光景を見たからって、一喜一憂していたら身が持たないわ。

まあ、そんな手にまんまと引っ掛かって、大事な人を失う男性も女性も多いらしいけど。その時は、自分の馬鹿さ加減を反省して、次に行くしかないわよね」

「それでも、リオンさんの言葉を聞いて嬉しかったのに……」

「確かに……僕もがっかりしました」

「まあね~」

エマの言葉の一つ一つが気になるリオンは、眉間に皺を寄せて話を聞いている。

「その話は自分のことだろうか」

自身の名前が出てきたことで、ようやく気づいたようだ。

そんな会話を背中越しで聞いていたルイーズは、ドアから離れて作業場所に戻っていった。

「私は、何を言おうとしたんだろう」