レアの部屋に着くと、エマが静かにノックをした。ドアを開けて笑顔で迎えるレアは、四人に中へ入るように手招きをした。部屋の中には、レアの他にリリーとメアリーがいた。

「リリーは、話せるくらいに回復したんだ。だから、皆にも紹介したい。こっちに来てくれるか?」

頷く四人は、レアに連れられてベッドに行くと、リリーは横になったまま、目をキョロキョロとさせていた。

「リリー、エマは分かっているな。こちらは、エマの妹殿のエリー嬢だ。そして、こちらがルイーズ嬢と、弟のリアン殿だ」

「皆さん、初めまして。リリーです。よろしくお願いします」

三人は、リリーに挨拶を返した。

「リリー、こちらがリリーを助けてくれたルイーズ嬢だ」

「姉に話を聞きました。助けてくれて、ありがとうございます」

ルイーズは、万全ではない体調で必死にお礼を言うリリーに、胸が締め付けられる思いがした。

「お役に立てて良かったです。早く回復するように、またお部屋にお邪魔しても良いですか?」

「はい、待ってます」

ルイーズは、手を伸ばし断りを入れるとリリーの手をやさしく包んだ。お互いに見つめ合い、笑顔になる二人。このやり取りを見ていた四人も、ほっこりとした二人の空気感に癒されているようだ。

そんな時、エマが急に振り向きメアリーを見た。

「あ、そうだわ。メアリーさん、王妃様のお誕生日はいつだったかしら?」

突然、エマから声を掛けられたメアリーは、微動だにせずその場に立ったままエマを見ている。そんなメアリーの顔を見ていたエマは、にやりとした目つきで口角を上げた。


「…………エマ様、好奇心が旺盛なのは結構ですが、あちこちに首を突っ込むと、またお姉様に叱られますよ」

「姉様のことも知ってたか~……今のことは、内緒ね」

お互い笑顔で何事もなかったかのように振る舞う二人に、周りも何かに気づいたのだろうか。誰しも二人の会話に触れることはなかった。