「名前だけで呼ぶくらい、姉上と仲が良かったのですか?」

「ああ、結婚の約束もした」

「えっ?」「結婚⁉」

リアムとエリーが驚きに目を見開いている側で、他の四人が疲れた表情をしている。
皆の態度がどうであれ、リオンは至って真剣だ。

「二人とも、大事なところを聞き逃しているわ……リオンさん、ルーちゃんは二人の関係性については覚えていないですよね。それなのに、目覚めたときに知り合ったばかりの男性がいたら驚きます。そういう所、きちんと考えてください」

エマから、もっともなことを言われて軽く落ち込むリオン。

「リオンさん、ルイーズとは結婚の約束をするほど仲が良かったのですよね。その時のルイーズはどんな感じでしたか?」

エリーの質問に、リオンは昔を思い出しているようだ。

「晴れ渡った空が似合うような女の子だった。一緒に花畑でも遊んだんだ……笑顔が…可愛かった……記憶を失ったと聞いたとき、あの目を曇らせることがあってはいけない、次は必ず守ると決めた。とても大事な人なんだ」

エリーとリアム以外の四人は、リオンの言葉を聞いて唖然としているが、エリーは嬉しそうだ。

「エリー、リオンさんは世話をしたいと言っていたのよ。それについては何とも思わないの?」
「でも、ルイーズを大切に思っている人がいることは、とても嬉しい……それに、本気で守ってくれる人がいることに安心したわ」

エリーの言葉を聞いて、頷くリアム。

「僕も同じ気持ちです。僕がリオンさんと、姉上のお世話をします。それなら良いですよね」

「……リアム君に言われたら否定できないわよ……」

どうやら、リアムの意見が採用されたようだ。こうしてルイーズのお世話係が決まった。