連れてこられた高齢の医者は、ブライスを厳しい口調でたしなめている。

「爺さん、悪かったよ。急いでたんだ、帰りは丁寧に運ぶから、そう怒るな。ほら、患者が待ってるから、診てやってくれ」

医者は、ブライスに背中を押されてベッドまで連れてこられると、そこにはルイーズの側から離れないリオンがいた。

「リオン、そこをどかんか」

医者に退くように言われたリオンは、少しだけ後ろに下がった。それを見て呆れた医者は、ブライスに目配せをして、ベッドから距離を取らせた。

「この子は……、ルイーズちゃんか?……何故ここにいるんだ」

「そんなことは良いから、早く診てくれ」

医者はルイーズの状態を確認すると、リオンの方に向き直った。

「リオン、お前もわかっておるな。あの時の症状と一緒じゃ」

顔を歪ませ、苦しそうな表情のリオンは、気持ちを立て直すべく前を向いた。

「リリーの部屋で、宝石が見つかった。それを手にしてしまったようだ」

「どういうことだ、何故リリーの部屋にそんなもんがあるんじゃ」

「まだ、なにもわからない……そんなことより、ルイーズは大丈夫なのか」

「あの時は、まだ幼かった故に、記憶の一部が抜け落ちたが……二回目だ、経過を見ないとわからん。しばらくは安静じゃ。明日も来るから、起きても無理はさせるなよ」

「わかった」