ベッドのヘッドボードに背を預けて、リラックスした様子の母親。その様子を確認して、安心するルイーズ。

「お母様、お加減はいかがですか」

「ありがとう。体調は大丈夫よ」

「それなら良かったです。夕食は食べられそうですか」

「ええ、折角だから皆でいただきましょう」

「はい、お食事はお部屋に用意していいですか」

 頷く母親を確認してから、リアムの方に振り返る。

「リアム、今日のお夕飯はお母様の部屋で頂くと、お父様に伝えてきてくれるかしら」

「はい、伝えてきます」

「よろしくね」

「マーサ、お夕飯はお母様の部屋で摂ると、料理長に伝えてほしいの、お願いね」

部屋に控えていた侍女のマーサにも、すぐさま伝えに行ってもらう。

「かしこまりました、ルイーズお嬢様」

リアムとマーサを見送り、ミシェルを見ると、少し眠たそうな表情だ。ミシェルを抱き上げて母親のベッドに上げると、眠気眼で「かあたま……」と呟きながら、母親に手を差し出した。受け入れようとする母親に、ミシェルを預けると、安心したのかウトウトとし始めた。

「ルイーズありがとう。いつも二人の面倒を見てくれて、本当に助かっているわ」

「二人とも、私にとって可愛い弟と妹よ。好きで面倒見ているのだもの。お母様がそんな風に思わないで。ゆっくり療養して、良くなったら皆でお出かけしたいわ。ピクニックとか楽しそう。きっと二人も喜ぶわ」

「そうね、楽しそう。二人の喜ぶ姿が目に浮かぶわ」

「…………」

 母親と話しているうちに安心したせいか、ルイーズの目からほろりと涙が頬をつたった。

「ルイーズ、もっと私のそばに来てちょうだい」

 自分の側に来たルイーズの手を、そっと握るエイミー。

「私の可愛いルイーズ、いつも家族を気遣い支えてくれて、本当に感謝しているわ。ルイーズは頑張り屋さんだから、たまには自分を甘やかしてあげて。好きなものを食べて、好きなことをして……たまには家族に我儘を言って、困らせてもいいのよ」

「……うん」

母親が自分を思ってかけてくれた言葉に、温かい気持ちになったようだ。