翌朝、廊下から使用人たちの動きだす音が聞こえると、ルイーズはベッドから起き上がり、身支度を始めた。昨夜は何とか眠りにつけたものの、リオンたち三人の様子が気がかりで、夜が明ける頃には目を覚ましていたようだ。

朝の支度も終えて、寝室の隣の部屋で荷物の整理をしていると、リアムが室内のドアから
顔を出した。

「リアムおはよう。今日は早いわね」
「よその屋敷で寝たのは初めてだから……」
「そうね。まだ早いけど、朝食は食べられる?」
「はい」
「それなら身支度を整えて、呼ばれるのを待ちましょう」

ルイーズが、侍女から受け取っていた洗面器とタオルを差し出すと、リアムは身支度を始めたようだ。ちょうど身支度を終えた頃、侍女が部屋をノックした。

「失礼いたします。朝食の準備をさせていただいてもよろしいでしょうか」
「二人も直ぐにきますから、四人分の準備をお願いします。」

今朝は、エマとエリーを含めた四人で一緒に朝食を摂る約束をしていたようだ。侍女が準備を始めてしばらくの時間が経った頃、部屋にエマとエリーが訪ねてきた。四人は挨拶を交わすと、着席をして食事を始めた。

「ルーちゃん昨日はありがとう。スープを飲んでお腹を満たしたから良く眠れたわ」
「それは良かったです」
「昨夜は、リリーちゃんの部屋に行ってくれたのよね。二人とも食事は摂ったのかしら」
「私が訪ねたとき、リオンさんは疲れた表情で、何も口にされていない様子でした。でも、軽食は受け取ってくれたので、多分食べてくれたかと思います。それから、私は食事が終わったら、また部屋に伺うとリオンさんに伝えました」

「僕もいきます」「私も行くわ」

リアムとエリーが言い放つと、エマが横から待ったをかけた。

「大人数で行くのは迷惑だわ。ルーちゃんは約束してるけど、二人が行くのはどうかしら」
「僕に行かせてもらえませんか。父からも、何かあったら姉上に付いて行くようにと言われました」
「そう……わかったわ。二人とも、よろしくね」

リアムの言葉を聞いたエマは、少し考えた後で、二人に任せることにしたようだ。