雑誌を手に持ったまま硬直した私を見ず、お姉ちゃんは話しかける。


「さっきまでクッキー作ってたのよ。うまく焼けたんだけど、食べる?」




尚も硬直し返答のない私を、お姉ちゃんは大声で呼んだ。

「聞いてる?ユキ。クッキー、食べる?」



お姉ちゃんの大声で気づいた私は、

「え?な、なに?」

と焦ったところを隠せなかった。


「だーかーらー、クッキー食べんの?」


お姉ちゃんは若干怒りを抑えられない様子で、私の顔をのぞき込んだ。




「あ、うん。食べよっかな」


私は焦っているのを隠すかのように、大きく息を吐いた。