顔をうつむかせたまま微動だにしないユキを見て、私はやばいっ!と焦りを見せた。



「リョウちゃんの事…かぁ…。寂しくないし悲しくもないって言ったら嘘になるけど、大丈夫」


ユキは無理やり作った笑顔を、私に向けた。

「そう…。なんかごめ」
「おまたせ~っ!なんかさ、水道混んでて、時間かかっちゃったよ~!!!あれ?どうした?」


私がいたたまれなくなってユキに謝ろうとした時、ちょうどツカサが花瓶を手に持ち、病室の扉を開けた。



「ツカサ…」

涙を目に浮かべた私はそれしか言えなくて、ゆっくりとうつむいた。肩が震えた。




「あ、そうだ。ミホ、友達が呼んでたぞ。ロビーんとこで待ってるって言ってた」

震える肩を優しく抱いて、ツカサは扉まで私を支えてくれた。
扉を開いて外にでると、病室の壁に寄りかかった状態でその場に座り込んだ。