私は特別に許可をもらい、車いすで地下に移動した。
本当は術後は絶対安静だけど、今回は許すって…。
『霊安室』
そう書かれた薄暗い部屋の扉を、お姉ちゃんとヨシユキさんと私の3人で開いた。
真っ白な布が、顔面にかけられている遺体が安置されていた。
開いた扉からそっと中に入った。
ひんやりとした空気が、私の頬の熱を下げた。
「リョウちゃん…?」
車いすで遺体の真横へ行き、布に手をかけた。
手が震えて、布をひくことができない。
リョウちゃん…。
リョウちゃんなの…?
布に手をかけた状態から動けない私を、見るに見かねたお姉ちゃんが優しく包む。
突然でビクッと体が震え、その振動で布が音もなく顔面から落ちた。