私は無意識にそばにあった手を握った。

「櫻井さん?どうしましたか?」

優しい看護師さんの声が聞こえて、私は少しホッとした。



「お願い……赤…ちゃん………助け…て………」



痛みで朦朧とする意識の中、私は力の限り声を出した。



この子だけは、
何が何でも助けて




看護師さんは手を握り返すと、
「絶対に、赤ちゃんを助けるわ。だからお母さんも、頑張りましょうね」


と笑顔を浮かべて言った。




うっすらと笑みを浮かべて、私は重くなる瞼を支えられなくなり、眠りに落ちた。