目を開けたら真っ白な天井が動いていた。
しばらくして私は、天井が動いているんじゃなく、私自身がストレッチャーで動いているんだと気付く。
思い出したように腹部の激痛に顔を歪めると、お姉ちゃんが私の手を強く握っていた。
「ユキ?!頑張るんだよ!あんた、お母さんになるんだからね!!!!」
そういう叫び声が聞こえると共に、握られた手は離されて私は『緊急治療室』と書かれた分厚い自動ドアをくぐった。
「いっちにっのさーん」
軽々しく私の体が持ち上がると、ストレッチャーから治療台へと移された。
「出血が著しいな。これは常位胎盤早期剥離かもしれない…。早くっ!」
慌ただしく聞こえてくる医者の言葉で、自分の体に起こってる事態を理解した。
陣痛じゃない……の………?