それから半月くらい経った後に、私達は入籍した。
お腹の子も順調に成長し、気がつけば臨月を迎え、予定日まで指折り数えるほどしか日にちがなくなっていた。
リョウちゃんは私と子どもを養うために、今まで以上に必死に働いた。
朝早くから夜遅くまで……。
リョウちゃんと一緒に、産婦人科病院の近くにマンションを借りて住み始めてから、私は炊事洗濯を全てこなせるようになっていた。
この日もいつも通り、はちきれんばかりの大きさのお腹を抱えながら、掃除に取りかかっていた。
お腹をさすりながら掃除機をかける。
ズキンッ
「っ!……いっ…いたい……!!」
突然の腹部の強烈な痛みに顔をゆがめた。
痛みはさらに酷くなって、私は立ってることができなくなった。
「いった……痛い………!」
痛みで意識が遠のいた。
ポケットに手を突っ込んで携帯を取り出し、徐に携帯の着信履歴から「お姉ちゃん」の文字を探し、力の限り強く通話ボタンを押した。
薄れゆく意識の中で、
「お姉ちゃん助けて…」
と何度も叫んだ。
同時に私の記憶はそこで、プツリと途切れた。