「………っ自分は……」
そこまで言ったリョウちゃんの瞳には、迷いの色が見えた。
私はリョウちゃんの瞳から、目を反らした。
多分、あのまま見続けていても私は涙を流すだけだと、そう思ったから。
「カナ、ちょっといい?」
腕を組んで、その様子を黙って見続けたヨシユキさんは、途中で口を挟み、お姉ちゃんを黙らせた。
「君は、ユキちゃんを愛してる?」
優しく微笑むヨシユキさん。
でも目だけは、ものすごく真剣だった。
「もちろんです!お腹にいる赤ん坊も含めて、世界一愛してますっ!」
真剣だった目がゆっくりと緩むと、ヨシユキさんは紅茶をすすった。
「そうか…。なら、きっと大丈夫だ。カナ、2人の判断に任せないか?」
ヨシユキさんは私とリョウちゃんを交互に見た。
そして最後にお姉ちゃんに笑みを向けた。
「ヨシくん…」
お姉ちゃんは消え入りそうな声で、わかった。と頷いた。