リビングの扉に手をかけてゆっくりとドアノブを回す。

新築のマンションは扉の建て付けがよくて、音もたてずに開いた。


「こんばんわ」


そう声をかけると、馬鹿笑いをするヨシユキさんがソファーに座ったまま、顔だけをこちらに向けて、

「お~。ユキちゃん!久しぶり!」

と元気よく言った。


そのあとにリョウちゃんが入ってくると、姿勢をむき直し今度は礼儀正しく、、

「リョウスケくん…だっけ?はじめまして。ユキの義理の兄の、高松ヨシユキです」

と微笑んだ。




「自分は、ユキさんの高校の先輩で、1年前からユキさんとお付き合いをさせていただいている、神崎リョウスケと申します。今現在は、バスの運転手をしております。この度は誠に申し訳あ」

「まあ、固くしないで。ソファ座って、ね?カナ、紅茶入れてあげて」



ヨシユキさんがリョウちゃんの言葉を遮って声を出した。
そして優しい笑顔を向け、空いているソファを指差して私達を座らせた。

お姉ちゃんはヨシユキさんから言われたとおり紅茶を入れにキッチンへ、パタパタとスリッパの音をたてて向かった。



「失礼します」

リョウちゃんがヨシユキさんの向かえのソファへ腰を下ろすと、私もリョウちゃんの横に腰を下ろした。