私はお姉ちゃんの言うとおりにマンションを出て、暗くなりつつある住宅街を、リョウちゃんの家に向かって歩き出す。


リョウちゃんって言うのは私の彼氏。



ピッ、ピピッ

携帯の履歴メモリーから、『リョウスケ』の名前を探し、通話ボタンを震える手で、慎重に押す。




プルルル…
プルルル…
プルルル…
プル……ガチャ

「どした~?」


いつものあの元気なリョウちゃんの声が、受話器から聞こえる。

「話したいことあるんだ。時間、あるかな?」


「今?うん。あるよ!どこ行けばいい?」

元気なリョウちゃんの声に、元気をもらって、私はトーンを少しだけあげて話した。



「じゃあ、駅前のマックでいい?」


「了解!今から行くからちょっと待ってて」



そう言ってリョウちゃんは電話を切った。






もう9月だと言うのに私からは、おかしな汗が滴り落ちた。