「そういう訳でもないけど……イエルクくんは、幼馴染で付き合っている女の子が居るらしいの。来年アクィラへ入学して来るらしいわ」

「あっ……そうなんですね。それだと、駄目ですね」

 フローラはイエルクに相手が居ると聞いて、なんだか残念そうだ。

 自分も所属している生徒会の中で、イエルクが私と一番に親しく話しているから、可能性があるのかもと思って聞いたけど、相手が居ると聞いて、その線はないと判断しららしい。

「そうそう。とっても可愛くて、性格も良い子なんだけどね」

「じゃあ、エルネスト会長や、オスカー先輩はどうですか?」

 純粋な好奇心の詰まったキラキラとした緑目を見て、私はなんとも言えない気持ちになった。

 これまでに、私がエルネストにどれだけ邪険にされていたかを思えば、それは言えないだろうし、二人は紳士だから、わざわざ過去のことを蒸し返しては言わないから、フローラは何も知らないのね。

「実は二人には、あまり良く思われてないの」

「えっ……そうなんですか? けど、お二人ともロゼッタ先輩にすごく優しいし、とてもそんな風には……」