彼の顔をじっと見て考えていたら、不思議に思われたのか、オスカーが聞いた。

「あ……すみません! それでは、お先に失礼します」

 私は一緒に帰る約束をしていたイエルクと、連れ立って部屋を出た。ちなみにフローラは居なくて、早々に部屋を出ていたらしい。

 生徒会に入れば、喋る機会なんていくらでもあるし、初日から焦らない焦らない。

「ディリンジャー先輩。昼食どうします?」

 今日は午前中授業で、何なら私たち以外の生徒は、早々に寮へ帰っている。

「あ。今日も校内で、食堂をやっているわよね? 一緒に食べる?」

「良いんですか?」

「もちろん。それに、イエルクは気にしすぎよ。迷信めいた噂なんか、誰かと楽しそうにしていれば、消えてしまうはずよ」

 イエルクはここに来るまで、街にいた時から色々と言われて、不必要に過敏になってしまっているんだよね。

「はい」

 力なく微笑むイエルク……両親が亡くなってしまったのは、彼のせいでもないのに……。

 少し暗くなってしまった空気に、私は話を変えようと、大きく伸びをして行った。

「はーっ……けど、食堂の食事って、何であんなに不味いんだろうね?」

「ディリンジャー先輩、僕も同じことを思っていました!」

 一緒に歩いていたイエルクは、前のめりで食いつき良く、そう言った……え?