「はい。エッセル先生、これで生徒会入りの条件は果たしましたよ!」

 私が瓶に入った双月草を彼に渡すとエッセル先生は、目に見えて驚いていた。

 紫がかった花弁を持つきらきらとした花を、じっくりと確認したエッセル先生は、確かに本物だと見てくれたのかもしれない。

 うんうんと納得したように、何度か頷いた。

「確かに……これは、双月草だ。ロゼッタ。君はこれを……どうやって手に入れたんだ?」

 探るように聞いたエッセル先生に、私は首を横に振った。

「購入ではなく、採取しました……けど、その場所は明かせません」

 魔の森の中にある高原の場所は、今のとこ私とエルネストしか知らない。王族エルネストはそういう事を、誰かに言ったりもしないだろう。

 エルネストは良く言うと真面目で、悪く言うと融通が利かない人だから、信用は出来るのだ。

「だろうなー……お見事だ。ロゼッタ。それでは、君を生徒会に推薦することにしよう」

「やったーーーーー!!! ありがとうございます。エッセル先生」

 言い終わらないうちに私が飛び上がって喜び、エッセル先生の手を握り何度か振った。

「おいおい……それは、喜び過ぎだろう。それに、ロゼッタ。何か春休みの間にあったか?」

 ……前世の記憶は、取り戻しましたね。

 しまった。喜びのあまり、リアクションが大き過ぎた。

 私はついこの間まで、高慢ちきな嫌な貴族令嬢だったのに……エッセル先生も、私のキャラ変に驚いたのかもしれない。