確かに、双月草は手に入れたい……けど、ここで手に入らないと、また一年待つことになってしまうし……学園の敷地内のことだからと、助けに来てくれた先生たちに取られてしまわないとも限らない。

 どうしようと思い悩んで顔を歪めた瞬間、彼の下半身が瞬く間に凍り付いて、私は驚いて目を瞬いた。

「……え」

 今はもう氷柱の中に閉じ込められているような男性は、ぴくりとも動かない。

 し……死んでないよね? 仮死状態なのかな?

「……おいおい。ロゼッタ・ディリンジャー。あんな下賤な男の世迷言を、そのまま信じようとするのか。世間知らずのお嬢様で、お育ちが良いのも考えものだ」

 聞き覚えのある呆れた声を聞いて、私は驚きつつ声の主が居る方向を見た。

「エルネスト……殿下? 何故ここに?」

 そこには麗しの第二王子エルネストだった。彼の金色の髪は、不思議な紫の光の元、妖艶な雰囲気を醸し出していた。

「お忘れかもしれないが……俺は君の学年の、監督生でね。まだ、寮へ帰って来ていない子が居るからと、寮番が心配していたので探していた……何かと、お騒がせなことをしてくれるな。ロゼッタ」