イエルクは美形だし、神童と呼ばれている魔法使いだし……私の嫁入り先としては、願ってもない人だろ思う。
うちの両親だって、イエルクと結婚すると言えばきっと喜ぶはずだ。だって、美形でスパダリであることが絶対条件である乙女ゲーム攻略対象者の一人なら魔法界での出世確実だもの。
エルネストやオスカーのような、身分のある王族や貴族ではないけど、エリート魔法使いだし条件が良過ぎる。
「……そういえば、イエルクって好きな女の子は居るの?」
気になってさりげなく恋愛動向を聞いた私に、イエルクは目を瞬かせてから淡々と答えた。
「好きな女の子は居ないんですけど、村の幼馴染の女の子と、僕は付き合っているんです」
……あっ! そうだった……本当に、忘れてた! イエルクの設定はそうだったー!
自分の記憶力が、全然頼りにならなさ過ぎて、泣けてしまう。
イエルクの幼馴染の女の子ルイーズは、来年入学して来るんだけど、その子が、エルネストルートでいうところの私……つまり、ヒロインフローラの恋敵のような役割になるのだ。