努力と根性さえあれば、困難を打ち砕けるかもみたいな儚い幻想なんて……ある訳がなかった。

 とにかく……今は一度この案件を持ち帰り、再度今ある条件を吟味して改善案を再検討して、魔力の強そうな新たな誰かと仲良くなることを、目指す必要性があるわね。

 うう。春なのに、なんだか風が冷たい……。

 続けざまに三人の男性に冷たくされた私は、落ち込んでとぼとぼと寮への道を歩いていた。

「……あの」

「え?」

 急に背後から、声を掛けられて振り向くと驚いた。

 そこに居たのは、イエルク……? さっき完全無視をしていた私を追いかけてきた様子だった。

 ……え。なんで? さっきは、何も答えずに、私のことを無視していたのに?

 私の戸惑いを察したのか、口下手なイエルクは懸命に話し出した。

「ディリンジャー先輩。無視してしまいすみません……けど、あの場で僕と話していたら、もしかしたらディリンジャー先輩が、悪く言われるかもしれないと思って……」

 悲しそうな表情を見て、戸惑うしかない私。どうして? 話しただけで、私が悪く言われてしまうの?

「え……どういうこと……? って、あ」