あまりの動揺に混乱してしまって、必死で草むらに姿を隠そうとしている毛虫へと心の中で話し掛けてしまう私……落ち着けない自覚はある。

 ……そうよ。フローラもエルネストも、二人とも、全くお互いを全く認識しない、見事な素通りだった。

 あの二人の出会いの、すっごく……大事な場面だったのに……。

 私の知っている乙女ゲーム『恋色★魔法学園』は、始まることもなく、今終わってしまったの……?

 開始するかもしれないという、大きな期待だけさせてしまい、本当に申し訳ありません。ご愛顧ありがとうございました。乙女ゲーム制作チームの次回作に、ご期待ください!

 ……みたいな?

 なんて……そんな訳に、いかないでしょ! この魔法界に転生してしまった私には、これがこれからも続く現実なのよ。え。嘘でしょう。

 ……だって!

 ヒロインフローラは、まずは最初の関門、生徒会入りを目指して攻略に必要な各パラメーターを上げたり、そこでの数値が足りない場合は敗者復活戦が用意されたりと、特殊条件発生イベントをこなすことになる。