私自身がやるしかないんだけど、こうしてうじうじと二の足を踏んでいる。自分でもわかってはいるんだけど……一歩目がどうしても重くて。

「では、君が世界を救ってくれたら、俺が君の願いを叶えると約束するよ。何でも。報酬があればやる気も出やすいだろう」

 え。今……何でもって、言った?

「じゃあ、あの竜に乗って世界中を旅したい! って言っても、叶えてくれるの?」

 彼が「やっぱり止めた」と前言撤回をする前に言質を取らねばと、私は大人しくとんがり屋根に留まっている白竜を指差して慌てて言った。

 前世旅行好きだった私には……もし、それが達成したご褒美になるなら、バンジージャンプも何度でも飛んじゃう! パラシュートさえあれば、雲が触れる場所からのスカイダイビングだって、大丈夫だと思う!

 さっきまで浮かない顔で沈んだ様子だった私のあまりの食いつきの良さに驚いたのか、一瞬だけ目を見開き動きを止めた彼は、面白そうに笑い出した。

「ははは! 良いよ良いよ! それでは、これで約束だ。君が魔法界を救ってくれたら、世界中の美しい場所に連れて行こう! 必ず、そうすると誓うよ」

「約束?」